定年前後の手続き

定年前後に行う手続きは自分で行わなければならないことばかりです。

どんな手続きがあって、どうすればよいか不安もあると思います。

そんな不安を解消できるようにご案内します。

退職金の受け取り方法の選択

定年前に自分が勤めている会社の退職金制度について確認してください。一時金だけの会社、一時金と年金方式など、会社によって制度に違いがあります。年金方式の場合、10年間受け取ることができるなどの有期型、死ぬまで受け取ることができる終身型があります。

自分は退職金をどう受け取るかを退職前に決定する必要があります。

●一時金と年金方式に係る税金

一時金と年金方式、どう受け取るか決定する要因として税金の違いがあります。

一時金で受け取る場合は、退職所得として課税されます。

ただし、退職所得控除があります。

退職所得控除は

・勤続年数が20年以下の方の場合

=40万円✖勤続年数

・勤続年数が20年を超える場合

=70万円✖(勤続年数̠ー20年)+800万円 です。

よぼど高額な退職一時金でない限り、税金がかかることはまれでしょう。

年金方式で受け取る場合は

年金にも公的年金等控除というのがあります。

65歳未満の方は、70万円の公的年金控除

65歳以上の場合には、控除額が増え基礎控除を含め120万円です。

年金は基礎年金、厚生年金も合算されますので、公的年金等控除をこれを超えた分は雑所得になり、課税されます。 

●当事務所がお手伝いさせていただくこと

定年前後の手続きについて下記のようなご不安がありませんか?ぜひともご相談ください。当事務所がお悩み解消をお手伝いさせていただきます。

・そもそもどのようなことから手をつけたらよいかわからない。

・会社で説明を受けたがよくわからない。

・自分はどのような手続きをするのかよくわからない。

・退職金の受け取りはこれで正解?

・確定申告はどのようにすればいいの?

定年前後の手続きについて何なりとご相談ください。


健康保険の切り替え

定年前に使用していた従来の健康保険は退職の翌日から使えなくなります。

自ご自身で切り替えの手続きをしなければなりません。退職後加入する健康保険についてご紹介します。

●在職中に加入していた健康保険の任意継続被保険者になる

在職中に加入していた健康保険組合などの健康保険の任意継続被保険者になることができます。

在職中に使用していた従来の健康保険は退職の翌日から使えなくなります。

1)加入条件

・継続して2日月以上健康保険に加入していたこと

・保険料を全額負担すること

2)保険料

保険料は以下のうちいずれか低い方に保険料率を乗じた額

・退職時の標準報酬月額

・その保険組合等の全被保険者の標準報酬月額の平均額

毎月納付書が送付されてきますので、10日までに銀行や郵便局で納付

★10日までに支払わないと、翌日から保険を使用することができなくなりますので、忘れず必ず支払う必要があります。

3)加入手続き

・申請期限 退職した翌日から20日以内

・申請先 従来加入していた健康保険組合など

・提出書類 「健康保険任意継続被保険者資格取得申請書」

扶養者がいる場合は、「被保険者(異動)届」などが必要

★任意継続被保険者への加入期間は2年間ですので、この期間が終わったら国民健康保険等への切り替えをする必要があります。

●国民健康保険の一般保険者になる

市町村が行う医療保険に加入します。

1)保険料

前年の所得に基づいて算出されます。

市町村によって異なりますので、事前にお問い合わせすることをお勧めします。

2)加入手続き

・申請期限 退職した翌日から14日以内

・申請先 住所がある市町村役場

・提出書類 「国民健康保険被保険者資格取得申請書」

身分証明書、離職票や資格喪失証明書など

市健康保険の被保険者となっているご家族の被保険者になる方法もありますが、現実的でないため、主な二つの方法をご紹介しました。

会社員のときは健康保険料は半分を会社が負担したくれていました。退職してからの健康保険料は全額自己負担になりますので、最低でも1年間は在職中より自己負担する健康保険料は多くなりますので、家計はその点を考慮しておく必要があります。

国民健康保険料についてはこちらをご参照ください。⇒国民健康保険料

●当事務所がお手伝いさせていただくこと

★定年退職前後の手続きサポートパック

定年前後の手続きについてご不安がある方について退職前6か月から確定申告完了までサポートさせていただくサービスです。私自身も定年退職前後の手続きを自ら行いました。

サポート料金は50,000円+消費税です。


国民年金への切り替え

定年退職した方は厚生年金の保険料を支払う必要はありませんが、その方に扶養されていた方で60歳に達していない方は国民年金へ切り替えする必要があります。旦那さんが定年退職した場合、奥さんは国民年金保険料を支払う必要があるのでその手続きをするということです。自身で切り替えの手続きをしなければなりません。

・申請先 住所がある市町村役場

・提出書類 退職年月日のわかるもの(退職証明、離職票など)

年金手帳


失業手当の請求、受け取り

定年退職後、すぐには就職できないが、再就職を希望する方は求職活動を助けるために雇用保険の失業等給付(基本手当)を受けることができますので、有効に活用しましょう。そのための手続きを紹介します。

●基本手当を受け取るための手順

1.書類の受け取り

勤めていた会社から

1)雇用保険被保険者証

2)離職票1、離職票2

離職票1、離職票2の2枚を受け取ったら、退職理由や賃金支払状況等の記載内容が間違っていないか確認しておきましょう。

2.求職の申込み手続き

次に、ご自身の住所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に行き、「求職申込書」と以下の書類を提出し求職の申込みをします。

1)離職票1、離職票2

2)個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)

3)本人確認書類(運転免許証など)

4)印鑑(認め可)

5)写真2枚(たて3センチ、よこ2.5センチ)

6)本人名義の普通預金通帳

「求職申込書」は書くのに時間を要するので、HPで記載見本などを見つけて下書きをしておくと時間短縮できます。

3.受給資格の決定

求職の申込みをすると、面接があり、書類が受理されれば、受給資格の決定が行われ、「雇用保険受給資格者のしおり」などが渡され、受給説明会の日時が指定されます。

4.受給説明会への出席

指定された日時の受給説明会に出席すると、「雇用保険者受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付されます。そして第1回目の失業認定日が指定されます。

「雇用保険者受給資格者証」はこの後、基本手当を受けるたび必要となり、失業認定日ごとに提出します。

「失業認定申告書」は失業認定日ごとに提出します。

5.失業認定手続き

指定された日時の失業認定日ごとに公共職業安定所に出向き、「雇用保険者受給資格者証」と就職活動等を記入した「失業認定申告書」を提出し、失業の認定を受けます。

★認定を受けるためには認定日と認定日の間に2回以上の就職活動を行い、「失業認定申告書」に記入します。

6.基本手当の支給

失業認定された後、その都度指定した金融口座に前回の認定日から今回の認定日の前日までの分が、就職が決まるまで、または所定給付日数分の基本手当を受給終了するまで、繰り返して振込されます。

●基本手当の金額と日数

失業認定された後、定年退職された方の基本手当は、月給が約45万円以上あれば日額の上限額の7,042円になると思います。給付日数は雇用保険に加入していた期間が20年以上なら150日になります。つまり定年退職者は月額で約21万円、合計で最大約105万円の基本手当を受け取ることができるのです。


確定申告

会社員のときは、年末調整は会社に書類を提出すれば、会社が手続きをしてくれました。この年末調整のような手続きをご自身で確定申告をする必要があります。年度の途中で退職された方はお金が戻ってくる可能性が高いので是非とも申告してください。

●申告書を受領

まずは、税務署で申告書をもらうことから始めます。税務署に行かず、パソコンから申請したり、申告書を作成することもできます。

・初めて申告する場合 住所を管轄する税務署で「申告書」と「手引き」等をもらいます。

・申告期限 原則として2月16日から3月15日

・住民税の申告 所得税の申告をすれば、改めて住民税の申告をする必要はありません。

●必要な書類の準備

確定申告をするには、記入するために必要な書類や税務署に内容を証明するための書類の準備をする必要があります。

・年の途中で退職した方 退職時までの源泉徴収票

・再就職した方 再就職先の源泉徴収票

・年金収入のある方(企業年金の方も含む) 年金の源泉徴収票

・生命保険料控除・地震保険控除を受ける方 それぞれの控除証明書

・医療費控除を受けられる方 医療費の領収書

●住民税

住民税は前年の所得に課税されます。毎年1月から12月までの所得に対して翌年6月から納付する仕組みです。ですから退職後、無収入でも、前年の所得に基づく住民税を納める必要があります。退職した前年の所得が多額の場合、何十万円、人によっては100万円以上になることもあります。

納付は各市町村から6月くらいに送付されてきますので、同封されている納付書で納付をします。